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オンブズマンの管轄についてはレジュメにも書いてあるが、その中に「除かれる事項」として、例えば「議会に関する事項」という部分がある。これは、議会に同じ内容についての請願、陳情などが出ている場合には、これをオンブズマンの管轄から外すということで、これは、双方のバランスと分担という意味でも適切なものかと思う。苦情が出てくると、同じ内容について請願なり陳情が出ているかどうかを真先に聞き、出ているという場合には、その市民に対して管轄の説明をし、両方に出ているとオンブズマンの方では扱えないと言うと、市民の方でどちらを取り下げるかという選択をするわけであるが、どうも議会の方を取り下げる市民の方が多いような気がした。

議会に請願を出した場合の議会における処理は、その性格上、議員の紹介が必要だとか、あるいは議会、委員会でまずどういう質疑がされるか、本会議でどういう質疑がされるかというようなことにまでたどり着くのに、結構時間なりプロセスがかかるというようなこともある。オンブズマンのところだと、毎日誰かが出ている、オンブズマン事務局へ行けば必ず聞いてもらえる、気楽にいろいろ言いたいことが言える、自分の気が付かないことまで聞き出してもらえるという安心感があるのだと思うし、その苦情が市のいろいろな局に跨がって関係があるような場合、窓口はそこ一つだけで済むようになっている。オンブズマンの方で、例えば「その苦情は市民局と環境局とに関係がある」とかいうようなことになれば、各局に連絡をして、各局の担当者に来てもらってヒアリングをする。双方に跨がって調査をするということをするので、市民の側にとっても便利な窓口であろうかと思う。費用は一切がからない。

苦情の申立については、各区役所や出張所に申立用紙と封筒が置いてあるので、それに書いて切手を貼らないで送れば着くようになっている。それから、オンブズマン制度以外の苦情処理や不服申立制度がある場合には、必要があればこちらから説明をする、例えば、行政相談の制度もある、あるいは監査委員の制度もあるというようなことも説明をして、そちらの処理に適するものはそちらへ行ってもらうように勧めるということがある。ただ、オンブズマンの守備範囲は非常に広く、市の行政の一切に関係するものであるから、「市の行政に関係のある行政相談と監査請求のどちらでやるか」と聞くと、「ここでやって欲しい」というようなことが非常に多い。監査に適したような内容、例えば市が業者と契約をする場合の入札の問題などについても、「オンブズマンの方でぜひやって欲しい」ということで取り扱ったことがあった。

この6年間の苦情の件数は9百数十件であって年間平均すると160件前後になる。内容としてはレジュメに書いてあるように、土木が一番多く、民生、建築、教育、環境といった順序になっている。ここで一つ申し上げたいのは、調査処理結果であるが、苦情が出て、「これは、ぜひ市に対して勧告しなくてはならない」というようなものは、是正勧告あるいは意見表明という、条例に決められた伝家の宝刀を使うわけであるが、そこまでいかないで、つまり調査の段階で市の担当者といろいろやり取りしている間にオンブズマンの方から「こういう考え方もとれるが、(あるいは)こういうふうに思うがどうであろうか」ということを話すと、「分かりました。それでは帰って検討します」ということで持ち帰り、「分かりました。では、それを採用します」ということで、勧告に行く前にヒアリングの段階で、その苦情の内容あるいはオンブズマンの意向が採用されて、市の処理が改められるというケースがかなり多かったということである。「苦情中立の趣旨に沿ったもの」が37.4%と書いてあるが、これは、まるまる100%苦情そのまま趣旨が通ったということではなくても、その一部であっても苦情があって

 

 

 

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